将棋 初段になる方法 〜更にその先までも通用する効果的な勉強法のまとめ〜
こちらの記事の続きです。
本記事では、1〜3級程度の級位者の方を対象とした、初段になる為の勉強法について書いていきます。(※やや内容を書きすぎた結果、初段になった後でも十分過ぎる勉強方法となってしまった為、タイトルを少し変更しました。)
(画像引用:公益社団法人将棋連盟サイト https://www.shogi.or.jp/about/base/tokyo/ )
序盤と中盤と終盤の3つに分けて勉強しよう
序盤の勉強と、中盤の勉強と、終盤の勉強に分けて考えていきます。
なぜ、分けてやる必要があるかというと、序盤も中盤も終盤も同じ将棋でも考え方がとても異なってくるからです。
と言うのも、本来、将棋の読み量と言うのは、序盤>>>中盤>>>終盤と言うぐらい、違ってきます。
プロですら間違える事もある終盤ですら、本来は序盤と比べれば読む量は少ないのです。
ただその序盤の読む量が多いと言うのは、あくまで、定跡というのを抜きに考えた場合です。
定跡というのは、恐らくこの記事を読んでいる方であれば知っていると思いますが、序盤を定跡無しで全部自分で考えようとしたら物凄く変化が沢山ありますよね?
そもそも居飛車なのか振り飛車なのかで将棋の内容がすごく変わりますし、居飛車でも相居飛車なのか対抗系なのか、戦法にしても物凄くたくさんあります。
つまり、本来ならば、沢山読まないといけないはずの場所を、先人たちが築き上げてくれた定跡というツールで、無駄な読む量を物凄く減らしてくれているのです。
序盤の考え方って?
その為、序盤の考え方と言うのは、1から自分で全て考えて行くというよりかは、自分の勉強・研究している戦法や、定跡に沿って、指して行くという感じです。
序盤の指し方の理想を分かりやすく例えるならば、持ち込み有りのようなテストと同じような感じです。(テストで持ち込んでいるノートや資料=頭の中にきちんとインプットしてある定跡)
つまり実践においては本来ならば既にある程度序盤の知識が完成してある必要が前提とされます。
ただこれはあくまで理想なので、初段を目指すという意味で考えるのであれば、細かい変化はよっぽど好きとか得意な形のみ覚えることにして、自分の指す戦型を満遍なく60%ぐらいの基本的な変化をしっかりと抑える、という事を意識してみるのが良いと思います。
序盤の具体的な勉強法について
では、具体的な勉強法についてですが、これはやはり本を読みながら盤面に並べる。その並べたことをしっかりと定期的に復習していく。(パソコンの将棋ソフトで並べて、データを保存していくのもありです。)
この作業が重要だと思います。
本を読みながら並べるという人は多いと思いますが、それを更に定期的に復習するとなると、かなりの人がやっていないのではないでしょうか。
人間と言うのは、エビングハウスの忘却曲線というのがあるように、少し時間が経つにつれて覚えたことをどんどん忘れていきます。しかし、一定の期間ごとに、復習をしていくとその記憶はどんどん忘れなくなっていきます。
記憶について興味がある方には、こちらの書籍をお勧めしておきます。
定跡の勉強も同じで、きちんと手順を覚えていなければほとんど意味が無いです。
初心者のうちは、だいたいの形を覚えておけば問題無いかもしれませんが、実際にある程度の変化をしっかりと覚え切ることで、自分が急に劣勢になりにくくなるだけじゃなく、中盤や終盤においてリードを取るチャンスになります。
定跡の棋書で居飛車党の方にとてもお勧めなのがこちらです。
居飛車党は、基本的に覚えることが沢山あるので大変ですが、この4冊さえあれば、ほとんど対応出来ます。細かい変化も沢山載っているので、初段を目指す分には、実戦でよく出てくる所だけを中心に、60%位を覚えるという感じで十分だと思います。
また、ここに書いてある変化を全て覚え切るのはかなり難しいですが、内容と網羅性で言うと序盤のレベル的には五段以上までは確実に対応出来ます。
僕は居飛車党なので振り飛車党の方にはそんなに自信を持ってご紹介出来るわけでは無いですが、振り飛車も一応指す時は指したりして四段位までなら勝ったりしているので、一応言っておくと、振り飛車の何を指すにしても、四間飛車の対急戦と対穴熊の有名な定跡は一通り覚えて置いたほうが良いと思います。
と言うのも、そもそも振り飛車は居飛車に比べて覚える事が狭い分、指し方の幅を広げておかないと、いざ居飛車側に力戦っぽく指されたり知らない形を指された時に全く対応出来なくなるからです。
ノーマル四間対急戦と、ノーマル四間対持久戦の基本的な変化を押さえておけば、どの振り飛車を指す上でも基本的な感覚が身についているので、より安定して綺麗に指しこなすことができると思います。
四間飛車の基本的な定跡書は古いですがやはりこれが鉄板でしょう。
中盤の具体的な勉強法について
実は将棋で最も勉強するのが難しいとされている中盤の勉強法について、書いていきます。僕も三〜四段時代でさえ(なんなら五段の今でも)、相手が格上時にソフトの評価値で言うと500〜1000位のマイナスに変動する手を中盤で指してしまうことが多々あります。
また、逆に、自分より格下と指してて思ったことが、格下が上手に中々勝ちづらいのは、中盤の別れ目でとても大きな損をしていることが多いなという印象でした。
中盤と言うのはとても重要で、終盤が人間でも読み切れる局面が多いため、その局面に持っていく最も重要な要因となる、この中盤戦は、慎重に指さないといけないですが、時には最前手の為に非常に大胆な手を指さなければならない時もあります。(落ち着いた手などが逆に凄い敗着手になったりする場合もあるし、その逆もあります。)
ただ、この中盤というのは、定跡のような流れの暗記でもなければ、詰め将棋のようにある程度形が決まっていてたくさん問題化されているという事も無く、一朝一夕で身につくものでもありません。そのため、中盤はすぐに目に見える変化が無くても辛抱して、じっくりとやっていきましょう。それが必ず力になります。
ここでは最も自分が効果的だと思う中盤の勉強法を書いていきたいと思います。
まずは、プロの定跡書で中終盤まで研究が載っているものを並べる。かつ、そのプロの棋譜を棋譜DB2などのサイトを使用して調べて並べる。
これが王道です。ただ、プロの研究を理解するのは中々難しいですし、心が折れます。
そこで、最もお勧めな方法としては、将棋ソフトを使用する事です。これが一番早いと思います。
今はフリーソフトなども色々あるので、導入して、序盤の延長戦上として、変化をソフトを使って検証していく作業が良いです。
ただ、フリーソフトだと棋力的には全く問題ないのですが、使い方の面でやや使いにくかったりします。
お勧め将棋ソフト激指14
その為、自分のお勧めの将棋ソフトは激指14です。
昔は激指と言えば1万円以上が当たり前でしたが、なんと今は(2018/2/8現在)¥7599で出ています。これは安すぎますね。
ちなみに何がお勧めかと言うと、まず激指の検討モード機能です。これが非常に使いやすい。自分も激指をずっと使って来ているのですが、検討モードを開くと初期盤面の状態から自由に自分で先手と後手の駒を順番に操作することが出来ます。
その操作に応じて、各局面ごとの評価値と、その時の先手と後手の激指の読んでいる手が何十手と表示されます。
つまり、それを活用すれば、こう来られたらどう指すんだろ?というところでも激指に考えさせたり、あるいはここで相手の最善手はなにで、それに対してはどう指していくんだろう?っていう所や、定跡後の中盤の難しい変化でさえも、こう来たらこういう風に指していこうというような戦略を立てていくことができるので、とても役立つことこの上無いわけです。
また、このソフトがあると、序盤の定跡を並べるときにもそれぞれの手の意味を理解するのにも役立ちますし、そのまま並べた定跡ファイルを保存してあとから見返したりする事も出来ます!
長々と書いてしまいましたが、それ位自分的にはお勧めと言う事です。
書籍であれば、数少ない中盤力を上げる事を目的とした本の中でこちら2冊がお勧めです!(NHK将棋シリーズは分かりやすくて非常に丁寧!)
中盤の勉強は、やっていない人が多く、やっておくと本当に確実に差がつき、棋力もぐぐぐーんとアップするきっかけに間違いなくなると思うので、是非取り入れてみてください。ただ、伸びるのも時間やや時間はかかりますが、きちんと取り組めばその分、絶対に伸びるので安心してください。
中盤の勉強は、ある程度時間をとってやるのがお勧めです。
終盤の具体的な勉強法について
最後に、終盤の勉強法について書きます。
終盤の勉強は、皆さんもやった事が多いのでは無いでしょうか。
詰め将棋や必至などを沢山解くのが良いとかよく聞くと思います。
それも間違っては無いです。
ただ詰め将棋の勉強と言うのは一歩間違えると、かなりの時間の無駄となってしまう事があるので、それだけ注意してください。
ここではその詰め将棋練習のリスクと、自分が考える効果的な終盤力の向上の仕方について書いていきたいと思います。
詰め将棋練習のリスクとは?
詰め将棋練習のリスクと言うのは・・・あまり実戦的では無いようなものや、長手数のもので、時間をいくらかけて悩んでそれを解くことが出来たとしても、あまり実戦的な棋力上達には活かされないと言う事です。
と言うのも、分からない問題があったらそれは、その解く為のプロセスが頭に浮かばないという事になります。
そのプロセスと言うのは、単に頭の中で駒を動かしていってそれをイメージしていく事なのか、1つの線の読みを何個も何個もたくさん頭の中に保ったまま比較する事が出来るのか、という事なのですが、
自分の経験上、非常に分岐の多い詰め将棋は、いくらそれを長時間考えたからといってその解く能力が上がるわけでは無いということと、
またそういった力が磨かれるにしても、アマチュアの持ち時間における将棋では、効果が発揮されにくい(主要アマの大会でも終盤は基本、秒読みに入り、そんな長手数読む暇がない)
複雑な詰め将棋を解く力をつけるよりかは、まだ、実際の終盤戦で、互いの王様同士の詰めろをかけたり、防いだり、攻めたほうが良いのか、受けたほうがいいのかなどを考えたりするほうが遥かに効果的です。この方法は非常に効果があるのですが、まずは、先に詰め将棋のやり方からお話しします。
詰め将棋は長くても9〜11手までで十分です。むしろ7手ぐらいまでの問題を大量に、かつ、何回も繰り返す事が大事です。
と言うのもそういった短手数の詰め将棋と言うのは、非常に実戦的に重要な手筋がたくさん含まれているので、手筋を覚えると言う事に繋がるからです。
また1分程度考えても分からない場合は、すぐに答えを見て次に進み、何度も繰り返したりするほうが、時間をかけて考えるよりも得です。
と言うのも、時間をかけて考えると果てし無く時間がかかる場合もあり、例えば、30分かかってやっと1問解けたというのと、30分間で15問を3週繰り返したというのとでは、明らかに後者の方が意味があります。それは知っている筋が増え、流れや、形も覚える事に繋がっているからです。その為、詰め将棋はとにかく量と回数を意識してやってみてください。以下にお勧めの詰め将棋本を貼っておきます。
次に、先ほども少し話した実際の終盤戦の攻防について考えるというやり方も紹介します。これは、プロの将棋の終盤戦、もしくは自分の棋譜の終盤戦を、自分と相手の最前手を考え続けるものです。ある程度棋力が無いと、難しいのですが、将棋ソフトがあれば答えを教えてくれるので問題無いです。
これをやると、ものすごく疲れますが非常に実戦的な方法なので、終盤力がめきめきつきます。学生さんとかであれば、何か難しい数学やら、化学やら、経済やらの問題に取り組んだりしている時の感覚でじっくりとしっかり取り組んでみるのが、本当に効果あるのでお勧めです。(分かりづらかったらごめんなさい笑)
それから、中盤からの考え方とかぶる部分もあるのですが、羽生の終盤術と谷川浩司の光速の寄せは、とてもお勧めです。(羽生の終盤術は有段者でも非常に難しい為、無理にやる必要は無いです。)
以上が、初段になるための勉強法です。
ここまでをまとめると、
①序盤と中盤と終盤に分けて勉強する
②序盤はしっかりと本を読んで、使用する戦法のおおよそ本の60%程度をきちんと暗記する。
③中盤は、本の中で中終盤まで書いてある変化はそれを覚えていく。それ以外はプロの棋譜をDB2で調べ、勉強する。また、ソフトなどを使用して、定跡の延長を自分で勉強する。
④終盤は、詰め将棋は短い手数のものを沢山解く。更に、実際の自分の棋譜か、プロの棋譜をしようし、終盤の部分からお互いの読みを考える。これもソフトを使用するなどすると良し。
と、以上になります。
結構本格的なやり方であるので、難しい部分もあるかとは思いますが、ここに書いてある内容の通りにやれば間違いなく初段に行けると思います(むしろ、実戦とかとも絡めてしっかりとやればここに書いてある内容だけで四段位までにはなれると思います。)そのため、ただ、初段になってそれで終わりというよりかは、有段になってからの棋力上達のことも見据えた上での勉強法としてお勧めです。
ここまで読んで頂いてありがとうございました!それでは。